「シャンパン」と「スパークリングワイン」の違いってなに?定義や製法を詳しく解説

シャンパンとスパークリングワインの違いについて解説します。これらの泡立つワインは特別な日の乾杯やパーティーに欠かせませんが、実は明確な違いがあります。製法や価格、味わいの面からこの違いを詳しく説明します。

「シャンパン」と「スパークリングワイン」の違いとは

シャンパンとスパークリングワインは、両者とも華やかな泡が特徴的なワインですが、名称の適用条件、製法、起源地、価格帯、味わいに至るまで、多くの点で明確な違いがあります。シャンパンとスパークリングワインの違いについて解説します。

「スパークリングワイン」とは

スパークリングワインとは、3気圧以上の炭酸ガスを含んだ発砲戦ワインすべてを示す総称です。1~2.5気圧のものはセミスパークリングワイン(弱発泡性ワイン)と呼ばれています。
スパークリングワインは白が基本ですが、ロゼや赤のスパークリングも造られています。

「シャンパン」とは

「シャンパン」と「スパークリング」は違うものと思われがちですが、実は「シャンパン」は「スパークリングワイン」の一種です。フランス北東部、シャンパーニュ地方でのみ生産されたものだけに与えられるこの称号は、特定のブドウ品種の使用、伝統的な製法「メトード・トラディショネル」、そして地域固有の気候条件により、繊細で複雑な味わいと独特な泡立ちを持つワインを生み出します。言い換えると、すべてのシャンパンはスパークリングワインですが、スパークリングワインすべてがシャンパンではありません。

「スパークリングワイン」の製造方法


ここではスパークリングワインの製造工程における主な違いに焦点を当てて解説します。

トラディショナル方式

トラディショナル方式、別名シャンパン方式というこの製法は、二次発酵を瓶内で行うことで、特有の繊細な泡立ちを生み出します。この製法が生まれたフランスのシャンパーニュ地方では、伝統的な手法で作られるシャンパンがその名を世界に広めています。特徴として、熟成期間が長いため、味わいは複雑で豊かであり、繊細な風味が楽しめます。瓶内二次発酵という手間のかかるプロセスは、シャンパン独特の高品質を保証します。しかし、この製法でシャンパンを生産するのは手間と時間がかかり、その結果価格が高くなりがちです。

シャルマ方式

シャルマ方式はイタリア生まれの独特な製法で、二次発酵をタンク内で行います。このプロセスの最大の特徴は、伝統的なトラディショナル方式に比べコスト効率が高く、大量生産が容易な点です。このため、シャルマ方式は経済的な価格帯のスパークリングワインの製造過程で採用されています。また、この方法では、フレッシュでフルーティな味わいのスパークリングワインが生み出されます。これは、タンク内で高い圧力のもと発酵させることにより、ワインが果実の風味を引き出すことができるからです。イタリアのプロセッコやアスティなどの人気スパークリングワインは、このシャルマ方式で製造され、その手頃な価格帯と華やかな味わいで世界中のワイン愛好家から愛されています。

トランスファー方式

瓶内二次発酵させたスパークリングワインを加圧式タンクに入れて冷却し、まとめて濾過してから新しい瓶に詰め替える製法です。こうする事で滓抜きなどの手間を省く事ができ、コストが抑えられるというメリットがあります。一方で瓶内二次発酵方式の簡略版なので、品質的なレベルは高いですがやはり少し劣るところがあるようです。

アンセストラルメソッド

アルコール発酵途中のワインの温度を下げ発酵を止め瓶に詰め、残りの発酵を瓶内で行う。温度が上がってくることで瓶内で発酵が再開し、炭酸ガス が発生し、弱発泡性ワインとなる。糖分を後から加える事がないので自然な方法と言える。

炭酸ガス注入方式

炭酸ガスを注入するだけのお手軽な製法で造られるため、価格が圧倒的にリーズナブルです。とにかく質より量!という方にはおすすめですが、二次発酵によって生じた自然な造りのワインと比べれば、泡の粗さや風味の乏しさがどうしても目立つので、ある程度飲み慣れた方からすると内容的に物足りないかもしれません。

「シャンパン」と名乗るための条件

ここでは、シャンパンと名乗るための条件について解説していきます。

原産地

シャンパンはフランス北東部のシャンパーニュ地方で生産されたスパークリングワインのみに与えられる称号です。シャンパーニュ地方外で生産されるスパークリングワインは、製造プロセスがシャンパンと同じ「メトード・トラディショネル」を採用していても、シャンパンと名乗ることができません。これはシャンパンの名称が原産地名称保護(AOC)により厳格に守られ、シャンパーニュ地方でのみ使用許可されているためです。シャンパンとスパークリングワインの最大の違いは原産地です。

ブドウ品種

シャンパン作りには、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、シャルドネの3種のブドウが必要です。これらはシャンパーニュ地方の冷涼な気候で栽培され、シャンパンに独自の風味や複雑さを加えます。ピノ・ノワールはボディと構造を、ピノ・ムニエは果実味とフレッシュな酸味を、シャルドネはエレガンスと洗練された酸味をもたらします。これらのブレンドにより、シャンパンは他のスパークリングワインと異なる独自の味わいを実現しています。シャンパンは、これらの品種のみを使用し、シャンパーニュ地方の厳格な基準を満たす必要があります。指定された品種以外を使用した場合は、製品はシャンパンと認められず、スパークリングワインとなります。

製造方法

シャンパンという名前はフランスのシャンパーニュ地方で生産されたスパークリングワインにのみ与えられる称号です。この地域で生産されるシャンパンは伝統的な製法「トラディショナル方式」で造られます。最初に静かに発酵させたワインに糖類と酵母を加え瓶に封入し、瓶の中で2度目の発酵を行い、炭酸ガスが生じ繊細で細かい泡のあるシャンパンが生まれます。この瓶内二次発酵法は、シャンパンの複雑で豊かな味わいと香りを引き出す重要なプロセスです。

「シャンパン」と「スパークリングワイン」の価格と味の違い

シャンパンは、フランス・シャンパーニュ地方で生産される、特定の製法(伝統的な瓶内二次発酵法)を用いたスパークリングワインです。これに対し、スパークリングワインは世界各地で生産され、多様な製法で造られます。この地理的な区分と製法の違いが、味及び価格に差をもたらします。シャンパンは、生産過程が緻密で手間がかかるため、スパークリングワインに比べて高価です。瓶内二次発酵という過程や、長期の熟成期間が品質を保証し、価格を高めます。一方、スパークリングワインは、生産方法や原料のコストの違いが価格に反映され、比較的手頃な価格帯から高級なものまであります。味において、シャンパンは複雑さと繊細さで区別されます。長期熟成による微細な泡、独特の酵母や果実の香りが味わいを構築します。スパークリングワインは、使用されるブドウの種類や製法によって多様な味わいがあり、フルーティーさやフレッシュさを楽しめるものから、複雑でリッチな味わいを呈するものまであります。

国によって異なる「スパークリングワイン」の呼び方

スパークリングワインは、産地によってさまざまな名前で呼ばれ、独自の製法や文化背景があります。
これらの違いを知る事で、好みのワインを見つけていただきたいです。

【フランス】ヴァン・ムスー(Vin Mousseux)

シャンパーニュ地方以外で造られたフランス産スパークリングワインの総称をヴァン・ムスーと呼びます。フランス語で「ヴァン」はワイン、「ムスー」は泡と言う意味を持つので、ヴァンムスー=フランス語でスパークリングワインという意味です。ヴァンムスーの大きな魅力は、フランス産の高品質なスパークリングワインでありながらリーズナブルであるところです。シャンパンはその製造過程が非常に緻密で手間がかかるため、一般的に高価です。これに対して、他のヴァン・ムスーはより手頃な価格で提供され、日常的に楽しむスパークリングワインとして多くの人々に愛されています。

【イタリア】スプマンテ(Spumante)

スプマンテとは、イタリアで造られるスパークリングワインの総称です。
代表的なスプマンテには、プロセッコ、ランブルスコ、アスティ・スプマンテ、モスカート・ダスティ、フランチャコルタなどがあり、ガス圧が3気圧以上のスパークリングワインをスプマンテと呼びます。
またイタリアでは、ガス圧が1~2.5気圧の微発泡ワインは、フリッツァンテ(frizzante)と呼ばれています。

【スペイン】エスプモーソ(Espumoso)

スペインも、フランス・イタリアに劣らず歴史をもったワイン大国です。スペインではスパークリングワインの総称を「エスプモーソ」と呼んでいます。えすぷもーその生産地域はスペイン全域にわたっておりブドウ品種から製法まで様々なものが生産されています。そしてこのエスプモーソの中で世界的に大人気なのが「カヴァ(Cava)」と呼ばれる銘柄です。

【ドイツ】シャウム・ヴァイン(Schaumwein)

ドイツでは、スパークリングワインを「シャウム・ヴァイン」と呼びます。その他にドイツのスパークリングワインの格付けとしての名称です。シャウムヴァインは、4段階あるドイツのスパークリングワインの格付けのうち、最も条件の少ないものにあたります。この意味で使用する場合は「EU圏内で栽培されたブドウを使用」「アルコール度数が9.5%以上」であることが最低条件とされ、使用しているブドウの品種や年数表示などは許されていません。
その代わり、製法に細かい条件などはつかず、きちんと明示していれば炭酸ガス注入方式での製造でも問題ありません。

まとめ

いかがでしたか?「シャンパン」と「スパークリングワイン」の違いをご理解いただけましたでしょうか?これからの季節、冷やしたシャンパンやスパークリングワインが美味しい季節になってきますね。違いを理解した上で味わうワインは一味も二味も違うのではないでしょうか?AND WINE CLUBでは、様々なテーマのワイン会を随時開催しておりますので是非、イベント情報をチェックしてみて下さい。

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